5月2日に埼玉県川越市にあるこえどファームさんを訪問しました。このこえどファームはNPO法人土と風の舎さんによって運営されており、NPO法人土と風の舎は2002年11月に代表理事の渋谷さんによって設立されました。基本理念として「人と自然と地域との新たな共生」を掲げており、園芸や農を通して、障がいや世代、立場を超え、誰もが自然と触れ合える場(場所・機会・時間)をつくり、人々の心身とともに豊かでいきいきとした生活を支援することを目的として活動されています。
具体的には参加体験型農園「こえどファーム」、訪問農園芸体験「お出かけ園芸ひろば」、障がい者の自立就労支援「みどりの架け橋」、公共エリアでの園芸福祉活動、園芸福祉士の養成等の活動をしています。
こえどファームは年齢や立場を超え、あらゆる人がごちゃ混ぜになって誰とでも対等な関係で共に農を楽しむ参加体験型の農園で、地域に暮らす様々な人々を結びつける地域コミュニティとしての役割を持ち、地域福祉の一端を担っていると言っても過言ではないものの、地域の課題解決のための手段の一つではなく、畑仕事が好きだから、楽しいから、仲間がいてうれしいからこえどファームのメンバーになってみようということこそがこえどファームの本質です。現在参加している参加メンバーの構成は30代から80代の人の個人契約が65名、親子40組、団体が1団体あり、毎週火曜日、金曜日の10時から15時、毎月第二土曜日が10時から12時、毎月第二日曜日が10時から14時に活動しています。
栽培品目は参加メンバー同士で栽培してみたい品目に関して相談して決めていて、主には約50種類の野菜や果樹、穀物、ハーブ等を無農薬、無化学肥料にて栽培しています。
またこえどファームでは・人が主役の体験農園・参加者はイコールパートナー・フラットな組織体・共同作業、共同収穫・生産物は共有物・農園管理(管理作業)という概念はなく、プロの農家から作業指導を受けることなどもしていなく、一般的な市民農園などによくある区画の設定はしていません。私が代表理事の渋谷さんに「参加者同士間でトラブルなどはないのでしょうか」と質問をすると、「2002年の設立時からこのような形でやってきたので全く問題なく、運営できています」とのこと。当たり前のことですが参加前の段階でコンセプトや理念に理解のある方々で構成されているため、トラブルなどもないのだなと感じました。
これまでにもこえどファームさんでは様々な取り組みをされており、川越市民を対象に市民農業体験や親子農業体験やハーブの栽培体験などのサービスを展開しています。また農業を学びたい意欲があったものの、発達障害のため大学に進学できなかった人や就農に向けて農業を学びたい人、就職に向けて準備したい人、PTSDを克服したい人、少年院退所者まで幅広く受け入れをして就業訓練だけではなく、リハビリテーションの場や社会体験の場を提供しています。
お話を聞いている中で渋谷さんがおっしゃっていた言葉でとても印象的な言葉がありました。それは自分が楽しんでいなければ参加している人も絶対楽しくないであろうということ。ルールや常識に囚われず、どんなことをすれば自分自身がまず楽しいと思えるのか。
当たり前のことかもしれませんがその当たり前のことを改めて認識させられる見学となりました。