オーストラリアにあるニューダイレクション・ケア(New Direction Care)は世界初の居住型高齢者介護施設として知られています。ニューダイレクションケアでは「Micro Town」と呼ばれるコミュニティの中で従来のケアを超えた住宅型高齢者ケアを受けることができます。この取り組みは世界初めての取り組みでそれぞれ7人の居住者を収容する17の家によって構成されており、Micro Townは実際の町のように機能するようになっており、「家の自由があなたをフォローします」をコンセプトに運営されています。
これは従来の施設モデルから脱却し、高齢者介護に求められる従来の期待以上のサービスを提供できることの証明にもなり、ニューダイレクションケアではケアとサービスに対するユニークで全体的なアプローチを通じて入居者の生活を豊かにすることに焦点を当てています。これらの環境は包括的で活気に満ちた環境を作りだしています。また地域社会と密接に関わりながらできるだけ普通の生活ができるように楽しむ取り組みをしています。
具体的には日常品を購入できる売店からゆっくりとコーヒーを飲むためのカフェ、美容院や映画館など必要な物は全てそろっており、必要であれば歯科医やトレーニングジムも使うことができます。このようにオーストラリアでは「慣れ親しんだ環境でできる限り自立した生活を送ることが本来の人間の尊厳にも合致する」という考えから在宅ケア中心の介護サービスが展開されています。従来は日本同様に施設中心の介護政策をとっていたオーストラリアですが、1985年の在宅介護コミュニティケア法(Home and Commutity Care act)の制定からは「在宅介護・地域介護」への転換を図っています。
日本においても終末期において療養場所として自宅を希望している方の数は増加傾向にあり、その理由としては様々な理由があります。例えば住み慣れた自宅で最期まで療養したいというものや必要であれば医療機関を受診したい、ケア病棟に入院したいからというものが多く、2009年に行われた高齢者の健康に関する意識調査では41.7%が療養場所として自宅を希望しているという調査結果となっています。今後ますます高齢者が増える日本。オーストラリアや欧州同様利用者の意思を尊重した社会構築のためにサービスのより一層の拡充や地域全体での利用者を支えるためのネットワークの構築が急務になるでしょう。
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