デンマークの首都コペンハーゲン。ここには私たちが想像する図書館とはちょっと変わった図書館があります。ヒューマンライブラリーと呼ばれるこの図書館は一冊の本の代わりに1人の人生のストーリーを20分から30分聞かせてもらうことができます。この図書館の「本」は家族とのつらい思い出や病気、障がい、社会では偏見を受けやすいセクシャリティを持っていたり、過去に犯罪を犯したことのある人など様々な問題を抱えている人々です。
この発言は「相手を傷つけてしまうかもしれない」、「失礼かもしれない」、「そこまで立ち入って聞いてはいけないかもしれない」そのような普段は聞きにくいことを聞いても良いという条件に本たちは同意しています。本は無料で図書館は交通費や食べ物、飲み物を出すだけで活動費は寄付や企業に対する有料研修などでまかない、対話のための庭は市から無料で借りています。スタッフは性的指向や性自認「彼」や「彼女」などの代名詞の使い方や配慮、尊厳を傷つけない接し方などの研修を受けます。
このヒューマンライブラリーの創業者であるロンニ・アバゲルさんは社会的抑圧がある文化の中において大事なことは安心して対話できる空間であり、知らないことを批判されずに学び考えることができる空間が必要であるという理念のもとこのサービスを開始しました。
2000年にデンマークで始まったこの活動は今では世界85か国で開催されており、日本でも日本ヒューマンライブラリー協会が定期的にイベントを開催しています。このヒューマンライブラリーでは本を借りる側の図書館の利用者が強烈な体験をできることはもちろんですが、借りられる側である本にとってもメリットがあります。
それは本自身も自分を省みることができ、自身の話で障害や同性愛などについて考えてもらうきっかけを提供できているということを誇りに思えることです。
社会に蔓延する偏見と差別。私たちは第一印象で相手を判断し、無意識のうちに距離を取ろうとしたり避けたりします。それはある意味当たり前のことなのかもしれませんが自分が知らない世界に目を向けたり考えたりすることでありとあらゆる価値観があることを知ることも大事であると考えさせられます。
引用
・https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/6ac543191aec51a5d96618cb90637a62005e7288
・https://ideasforgood.jp/2022/04/05/human-library-interview/
・https://ideasforgood.jp/2022/02/15/human-library/