皆さんは北欧というと「福祉先進国」や「福祉大国」といった言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。ところが高齢者介護事情に目を向けるとあまり楽観視をできるような状況ではなく、その理由の一つとして北欧諸国の中でも最も早いスピードで高齢化が進んでいること、さらに二つ目としてリーマンショックの影響から抜け出せず、若い世代を中心に失業率が高いままなど財政的に厳しい状況であることがあげられます。
そんな北欧の国フィンランドでは施設介護から在宅介護への転換や、ダイナミックに進む民営化など大きな変化が起こっており、そのような状況の中で高齢者の家族や友人が自宅で介護を行う際に手当金を受け取れる「近親者介護サービス」という独自のサービスがあります。この制度は専門的な介護者によりケアを重視する福祉政策の一環で、高齢者ができるだけ自宅で暮らせるような住宅ケアの支援です。
具体的には高齢者の家族や友人など親しい関係にある人が自宅介護サービスを提供した時にその対価として手当金がもらえる制度です。もらえる金額は日本円にして月額約4.5万円から重度の人の場合は9万円くらいです。必要性が認められると介護する人が自治体と契約を結ぶことができ、手当金のほか、休暇や社会保障があります。また介護者が手当金をもらっていても高齢者はショートステイなどの社会福祉サービスを利用することができます。
1995年以降フィンランドではこの制度を利用している人が増加しており、この背景にはフィンランドの高齢者が自立志向が強く、在宅介護を望む人が多いことが多いことが多数派であることがあります。また施設介護よりも在宅介護の方がお金がかからないということもあり、国の政策として施設から在宅へと今大きくシフトしています。特に老人ホームは縮小傾向で利用者が急減中で1995年に老人ホーム建設のための補助金が廃止されたことが大きく影響しています。
代わりに伸びているのが重度の人の在宅介護を可能にするホームケアで今までなら老人ホームに入居していたような介護度の高い人が訪問看護や訪問介護サービスを頻繁に利用しながら在宅で生活するケースが増えています。また自立に近い人は配色や掃除などのサポートのみで済むような場合近親者介護サービスを利用して訪問介護サービスは使わない流れになっていきています。
急ピッチで進む高齢化など日本と似た状況にも思えるフィンランドですが一つ大きく異なる点があります。それはフィンランドの介護士は社会的地位が高いということです。収入も高く、安定しており人気の高い職業です。日本では介護士というと汚い、きついというマイナスなイメージが先行することから日本においてはまず介護士の待遇向上に注力することはとても大事な点であるでしょう。
もちろんフィンランドでもメリットだけでなく、リーマンショック後の長引く不況や移民問題などの問題があり、今までの高齢者福祉を維持するのが難しくなっていきています。国によってそれぞれ状況や事情は異なるもののその時々の変化にどのように対応してくのかが課題でしょう。
引用
・https://nakamaaru.asahi.com/article/13802820
・https://wtr3045.hatenablog.com/entry/2024/04/02/000000_1
・https://www.tsukui-staff.net/kaigo-garden/life/finland-care-situation/#:~:text=%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E3%81%AB%E3%81%AF,%E5%86%86%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%84%EF%BC%882013%E5%B9%B4%EF%BC%89%E3%80%82