アイルランドのケアファームの歴史は、20世紀初頭に遡ります。当時アイルランドの農村部では貧困や疾病などの問題が深刻化しており、農村の人々が支援を必要としていました。その為アイルランドの教会や慈善団体が、農業や畜産業を通じて農村の人々に対して、サポートを提供するため施設を設立し、始まりました。これがアイルランドのケアファームの起源とされています。
第二次世界大戦後、アイルランド政府が福祉制度の改革を行い、農村部における社会福祉の充実が進みました。1970年にはアイルランド政府が農業を通じた社会福祉の支援を目的として、ケアファームを支援するプログラムを開始しました。
その後1980年にはアイルランド国立ケアファーム協会が設立され、アイルランド全土におけるケアファームの普及が進みました。また1990年代以降には、若者や障害者、高齢者、様々な人が利用できるようになり、現在ではアイルランド国内には多数のケアファームが存在しています。
このようにアイルランドのケアファームは、農業や園芸、動物の世話などを通じて、身体的、精神的、社会的な健康を促進することを目的としており、アイルランドの美しい自然環境は人々に多くの恩恵をもたらしています。
では具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。まず初めに農業や園芸、動物の世話などを通じて自然との繋がりを促すプログラムです。これは自然と触れ合うことで身体的、精神的、社会的な健康の促進をする狙いがあります。次にコミュニティの支援です。
アイルランドのケアファームでは、地域コミュニティの支援にも力を入れています。例えば地元の学校や施設に、野菜や果物を提供したり、地元の人々を招待して園芸教室やワークショップを開催したりしています。このような活動を通じてコミュニケーションをとることで社会からの孤立を防ぐことができます。
そのほかアイルランドのケアファームも、自家製の有機野菜や果物を使った自家製ジャムやジュースなどを作って健康的な食生活の促進をしているほか、地元の農家や食品メーカーと協力し、地産地消の取り組みをしています。障害者の支援に関しては、障害者に農業や園芸などの仕事を与えて、自然と触れ合うのみではなく、社交的な活動や自立支援の為のトレーニングを行っています。環境保護活動部門では他国同様再生可能エネルギーの利用や廃棄物のリサイクルなど、地球環境を考慮した取り組みを行っています。
以上のように、アイルランドのケアファームでは地域社会や自然環境とのつながりを大切にしながら、健康的な食生活や社会的な貢献を促進するための様々な取り組みが行われています。