デンマークにおいてケアファームの概念が生まれたのは1970年~1980年代だと言われています。この時期に自然との触れ合いや農作業が特に精神的な健康やリハビリテーションに対して有益であるとの考えが広まりました。その後デンマークでは心理学者や社会福祉関係者が、自然療法や農作業を通じて人々の健康を促進する取り組みを模索し始めました。
彼らは都会の喧騒やストレスから離れ、自然の中でリラックスし、自己肯定感を高める可能性を見出しました。また、障害者や精神障害者に対しても、自然環境がより適切なリハビリテーション環境であるとの観点から、ケアファームのアイデアは生まれました。
1980年代にはデンマークで最初のケアファームがいくつか設立され、これらの施設では農作業や園芸活動、動物との触れ合いが参加者の心身の健康を支援する重要な要素となりました。また参加者の自己肯定感の向上や社会的な結びつきの強化にも効果があるとされました。その後デンマークのケアファームは徐々に増加し、国内外で注目を集めるようになりました。現在では多くのケアファームがデンマーク各地に存在し、高齢者や障害者、精神障害を持つ人々など、様々な利用者に対してサービスを提供しています。デンマークにおけるケアファームのアイデアは自然との触れ合いが心身の健康に良い影響を与えるという信念に基づいていることから、自然療法や農作業を中心に捉えたアプローチを取りながら、参加者個別のニーズに合わせたケアとサポートを提供しています。具体的には森林療法や園芸療法などの自然療法を取り入れることが一般的となっており、自然の中での過ごし方や植物との触れ合いが参加者のリラックスや精神的な健康を促進すると考えられています。そしてこれらの活動は日常生活スキルの向上や身体的なリハビリテーションにもなります。
その他デンマークならではの取り組みとして、リハビリテーションと介護が統合的に提供されていることがあげられます。これにより身体的な健康と心の健康の両方のサポートをすることができます。またペットや家畜との触れ合いが提供されるという事までは他のヨーロッパ諸国も同様に取り組んでいるものの、デンマークではペットと同居が可能な介護施設もあり、社会福祉制度が充実していると言われるのも頷けます。
このようにデンマークのケアファームは、地域社会との連携や地域資源の活用を重視し、地域全体の健康と幸福に貢献する場として重要な役割を果たしています。ケアファームは多くのデンマークの人々にとって心身の健康回復やリハビリテーションに有益な場として高く評価されています。