ノルウェーにおけるケアファームの歴史は1970年代まで遡ります。当初は高齢者が農村地域で農作業を手伝う事で地域の生活や文化を維持することを目的としたものでした。その後、高齢者が自然療法を受ける場としてケアファームが発展していき、1990年代以降ノルウェー政府はケアファームの運営や開発に対して積極的な支援を行い、施設数が増加しました。2008年当時ノルウェーのケアファームは約200施設が存在していました。
現在もノルウェー政府はケアファームの拡大によって高齢者の認知症予防や社会的孤立の防止、身体活動の促進などの効果があることを認識し、国家レベルで支援を行っています。
ノルウェーのケアファームは、高齢者や身体障害者の福祉を目的とした農場や自然環境を活用した施設であり、利用者は農作業や動物の世話、散歩などを通して自己実現や社交性の向上、身体能力の向上、維持などを促進する取り組みをしています。そして、家畜や野菜、果樹園、林業、養蜂など様々な分野があり、利用者は自分の興味に合わせて、それぞれの分野で活動を行うことができます。食事や住居などの生活支援も提供されており、利用者が快適に過ごすことができます。国や自治体の支援によって、利用者は自己負担が少なく、手軽に利用することができます。また利用者とスタッフの交流が盛んで、家族のような温かい雰囲気があることも特徴です。これらの取り組みが評価され、ノルウェーは世界的に高い福祉水準を誇る国の一つとなっているのです。
今日ではノルウェーのケアファームはメンタルヘルスのリハビリテーションとして利用されることが増えています。具体的に認知症の高齢者や身体障害者など疾患によっては社会的孤立に陥りやすい人々に対して、ケアファームが提供する共同生活や作業によって交流やコミュニケーションを促進する取り組みです。また、専門的な支援体制を整えることで住民のメンタルヘルスのケアも行われています。心理カウンセラーが常駐し、利用者の個別ニーズに合わせたケアを提供しているのです。最近では若年層のメンタルヘルスのケアにも着目して、若者向けのケアファームが設立されるなど、新しい形態のケアファームも増加しています。
これらの取り組みなどからもわかるように、ノルウェーのケアファームな年々発展を遂げ、施設の数やサービス内容も拡大しています。今後も高齢者や身体障害者、そして若年層のメンタルヘルスに悩む人々が健康的な生活を送るための施設として注目されることが予想されます。