前回なぜ日本では認知症が多いのかという内容について取り上げてみましたが今回面白いトピックを発見したため今回はそれについて取り上げてみたいと思います。
それは欧米では認知症患者が減少傾向にあるということです。日本では今後も認知症患者が増えるであろうと言われている中でなぜ欧米では認知症患者が減少に転じているのでしょうか。マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大学の研究者たちは計4万9202人を対象にした大規模な研究データを精査しました。この研究では65歳以上の男女を少なくとも15年間追跡し、これは対面式の検査も含み多くの場合が遺伝子データや脳の断層写真、研究対象者の心血管疾患の危険因子に関する情報を精査したものです。
データにはアルツハイマー病の個別評価も含まれており、研究者は10年間でアルツハイマー病の発症率が16%の割合で低下してきたことを突き止めました。1995年当時75歳の男性は残りの人生において認知症を発生する可能性が25%ありました。また男性よりも女性の方が認知症になりやすいという結果が出ていますが認知症の発生率に男女間の差はなく、高齢者人口が単純に男性よりも女性の方が多いからだそうです。認知症発生率の低下に関して不可解な側面の一つとしては低下が米欧に限られており、アジアや南米、アフリカでは低下が見られないということです。むしろ日本、中国、韓国では増えているという報告すらあり、ハーバード大学公衆衛生大学院疫学研究課長のアルバートホフマン氏によると喫煙率が高いことと関係があるそうです。
米欧における発症率低下の主な原因の一つは主に血圧やコレステロールといった心血管の危険因子の制御が改善されたことがあげれらます。認知症患者のほぼ全員が高血圧の結果と見られる血管損傷などの脳の異常も抱えており、ホフマン氏はさらに高血圧は中年期に最もダメージを招きやすく、若年期に血圧が低く、その後に血圧が高くなった人は認知症を発症する可能性が低くなるという見解を示しています。
またその他に考えられる理由として考えられているのがより良い教育です。良質な教育は例えば過去に忘れたことのある言葉の同義語を増やした記憶領域など、脳により多くの容量を付与することで保護効果が得られると考えられています。血圧コレステロールの制御と同様、教育レベルは過去数十年間で改善されているものの、「教育は認知症の発症年齢を遅らせるとの仮説があるが、まだその科学的根拠はない」とホフマン氏は言います。一方認知症の遺伝的危険因子が変わったはずはないという研究者もおり、確実性を高めるにはさらなる研究が必要だと言われています。
今後さらなる認知症患者増加が見込まれる日本。欧米からのヒントを得て日本も認知症患者が減少に転じることを期待して止みません。
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