6月23日にルールモントにあるCoöperatie Limburgse Zorgboeren(CLZ)へ行ってきました。ルールモントはオランダ南西部リンブルフ州の都市でマース川沿岸にあり、ドイツ国境、ベルギーのフランデレン地域に接している場所です。到着するとディレクターのジョンカウバーさんが出迎えてくれました。CLZは2013年に発足したリンブルフ州を拠点とした協同組合です。2019年当時介護農家は65世帯あり、ケアファームで実際にケアを受けた利用者さんは1500人程でした。現在では60の介護農家がリンブルフ州介護農家協同組合(CLZ)に加盟しており、介護農家は売り上げの6%をCLZに支払う仕組みになっています。
CLZはケアの継続性に重点を置き、利用者が可能な限り長く自宅での生活を続けられるようにするための専門的なケアとサポートを提供するため、多様なクライアントのニーズに応え、介護を必要とする人々が安全な環境の中で安らぐことができる空間、仕組み作りをしています。活動内容としては、メンバーと共に将来の計画を立てる、組合員向けの研修の実施、農場の監視、ケアファーム向けの新商品の開発、請求書の作成及び送付、自治体との契約締結、クライアントと財務管理の他週末に自閉所の子供のためのケアファームに滞在したり、燃え尽き症候群の人々の職場復帰の支援も行なっています。
1900年以前、当時のオランダでは障害は罪だという認識であり、障害を持った人々は社会から遠ざけられていました。そのため社会と何の交流や接点を持つこともできませんでした。そのような背景があり、その後1900年以降に障害者のための施設が作られていきました。そして前世紀末にオランダで初となるケアファームが誕生し、同時に自然の要素から受ける良い影響について研究が行われるようになりました。その際オランダの医療制度も見直しが行われたことで障害者も社会の一員として認められるようになったのです。
その一方農業分野に関しては農家の人々が自分たちの畑をいかにして拡大するのか模索していました。当時は畑を拡大することは今に比べて難しかったことから、彼らは別の方法でお金を稼ぐ方法を探していたのです。このようなことから全く異なる2つの世界が結びつき、今日のケアファームのモデルの礎となりました。
CLZに加盟しているケアファームのタイプはデイサービスだけではなく、住居式タイプの物もあり、主な利用者のターゲット層は当初障害者だったものが高齢者や中毒者、子供まで拡大し、これらターゲット層の人々を受け入れるため、CLZはリンブルフ州で約1250のケアファームを運営しています。
これからもビジョンとして掲げている緑豊かなケアファームが提供する機会と可能性を最大限に活用し、介護を必要とする人々が安全な環境の中で穏やかに安らげる空間、仕組みを構築していくことが期待されています。